徒然日記

ふと感じた四季折々のこと、本のこと、街のこと

【リチャードジュエル】メディアの力は巨大

クリントイーストウッドの新作『リチャードジュエル』。

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人間を一つ一つ丁寧に写し、観る人によってどう想わせるかなにを感じさせるかを委ねるところは安定のイーストウッドぽい。

今回、「権力を握る人は頭がおかしくなる」とリチャードを弁護する弁護士のワトソンの言葉。

放送の仕方一つで、善人を罪人に仕立て上げる恐ろしさと、それができてしまうメディアの力は本当に怖い。

新聞記者としてでっち上げ記事を書いた女性記者やFBIの言動から、

人が人で無くなる瞬間を見れて、人間の怖さを感じた。

 

主人公であるリチャードが、

謎のバック(爆発物)を発見し、迅速な対応をしたことで、多くの人命を救ったことで

アトランタの英雄となるが、犯人が捕まらず、証拠のでっち上げとマスコミの扇動によって

第一発見者のリチャードが犯人として疑われ逮捕されてしまう。

 


たった一面の記事だけで、人の人生を変えてしまうメディアの影響力・・・

テレビや新聞、ネットで日々情報に踊らされていることを痛感する。

一般人もSNSで簡単に発信できるような時代だからこそ、

流れてきた情報は果たして正しいのか、発端は何かを疑わないといけない。

何気ない一言やRTが誰かの人生を変えてしまう可能性があるし、

もうすでにリチャードみたいな人って存在しているのじゃないかと思った。

 


今回も「15時17分、パリ行き」「ハドソン川の奇跡」同様に、正義を貫き行動する男たちの魂に感動させらる。


FBI、マスコミからのメディアリンチ、誤報によって犯罪者に仕立てられても、

リチャードの真っ直ぐな人間性尊い。ただなかなかの変わり者で

過去の経歴で犯罪者として疑われてしまうのもわからなくもないが、

彼の昔の仕事仲間で、リチャードの無実を晴らそうとする弁護士のワトソン人情味が厚く、素晴らしい人間ドラマだ。

 


「どのようにあなたを守れば良いかわからない」とメディアに張り詰められ精神的に参っている母親が、

泣きながら放つ一言が辛かった。


覚悟を決めた母親の記者会見シーン「平穏な生活を返して欲しい」と涙ながらに訴えかける姿には感服。涙腺崩壊。

息子を愛する母親の強さを感じた。


終盤リチャードと捜査官が対峙するシーンのリチャードのセリフが全てを物語っていたと思う。


権力とメディアによる情報操作で世論を動かしていく怖さや捜査の思い込みは

今の時代にも通ずるから、オリンピックを目の前に控える今、見てもらいたいなと思ったところ。