徒然日記

映画や小説の感想を紹介しながら、旅先や街歩きの情報も掲載。

2021年の読書記録

・ドナウの旅人 宮本輝
TSUGUMI 吉本ばなな
・朝ごはんぬき? 田辺聖子
・サウスポイント 吉本ばなな
・海のふた 吉本ばなな
デミアン ヘルマン・ヘッセ
寺内貫太郎一家 向田邦子
道頓堀川 宮本輝
阿修羅のごとく 向田邦子
・ボッコちゃん 星新一
二十歳の原点 高野悦子
・シカコブルース スタインベック
・ハツカネズミと人間 スタインベック
・オレンジの壺 宮本輝
・異邦人 カミュ
・変身 カフカ
・返事はあした 田辺聖子
・記憶する体 伊藤亜沙
錦繍 宮本輝
・私達が好きだったこと 宮本輝
・命の器 宮本輝
灯台からの響き 宮本輝
・ここに地終わり海始まる 宮本輝
・人間の幸福 宮本輝
・流転の海 宮本輝
金閣寺 三島由紀夫
命売ります 三島由紀夫
・ののはな通信 三浦しをん
・楽園のカンバス 原田マハ
・草原の椅子 宮本輝
彗星物語 宮本輝
伊豆の踊り子 川端康成
・エミリの小さな包丁 森沢明夫
・葡萄と郷愁 宮本輝
クライマーズハイ 横山秀夫
青が散る 宮本輝
・雪国 川端康成
・螢川 宮本輝
・余命10年
・いとしいたべもの 森下典子
・星宿海への道 宮本輝
・ある男 平野啓一郎
・村上ラヂオ3 村上春樹
・走ることについて語るときに僕のかたること 村上春樹
・やがて哀しき外国語
・ダークスターサファリ ポール・セロー
ねじまき鳥クロニクル 村上春樹
・残像に口紅尾 筒井康隆
・サラの鍵 タチアナ・ド・ロネ
村上春樹 短編集
パン屋襲撃 村上春樹
・夕映え天使 浅田次郎



この中でも特に
「ドナウの旅人」
ドナウの川の流れは人生のようでもある。
ドナウ河に沿って旅をする男女4人の旅物語…と思いきや、後半ひそかに尾行してくる尾田がスリリングさを盛り上げるサスペンスストーリー。
文字だけで表現されるドナウ河に広がる都会の景色、田園の円光がとても鮮やか。
子供の手がかからなくなる人生の折り返し地点に来たら、別の人生歩んでみる。心を自由に生きるのも一つの選択肢だと思うけど、自分の母が絹子のようにな行動をとったら麻沙子と同じように父の味方になるだろう。
登場人物の時間を追っての内面描写がこまかく、民俗、言葉、歴史についても触れられる。


ダークナイトサファリ」
旅作家ポールセローが2001年1月〜5月の間、
エジプトカイロからケープタウンまでを陸路で旅した紀行文学。
700ページあったけど、旅の紀行で苦にならず読んでて充実していた。

90年代後半のアフリカの情勢や歴史、街や人の様子など
テレビやネットでは得られない情報をポールが目にしてきたアフリカの本質が
描かれていて、めちゃくちゃアフリカに興味が湧いた。
日本版で言うと沢木耕太郎の「深夜特急」のアフリカ版ってところでしょうか。

船でナイル川を渡り、ジブチ鉄道でハラールへ行って、家畜運搬車に乗ってエチオピアの強盗街道を、ウモジャ号でヴィクトリア湖を渡って、キリマンジャロ急行でムベヤへ、ブッシュ列車でダルエスサラームに行って…
書かれている光景が映画の世界。
名所も詳しく出てくるから、地図みながら読み進めたことによって
アフリカの東側(ポールが旅したルート)はかなり把握できた(気がする)。

世界一治安が悪くて犯罪多発都市と言われている(言われていた?)
ヨハネスブルグは、駅着いた途端から、人のヤバさが描かれているから
当時からひどいんだなと。
個人的にはボツワナに行ってみたい。

寺内貫太郎一家

向田邦子月間。寺内貫太郎一家。読んでてほんとにほっこり。昭和の亭主関白な貫太郎の不器用さが父とかぶる。口下手で怒りっぽく頑固、だけど涙もろくて誰よりも娘息子のことを思う父の優しさがとても愛おしい


彗星物語

一気読み。ところどころ面白くて笑えて、下巻の終わりに泣く。まずハンガリー共産主義の国だったことを知るところから始まる。めちゃくちゃ好みの一冊。
昭和のどたんば家族劇。

11人一家の城田に、3年日本に滞在のハンガリーからの留学生ボラージュ君がやってきて、文化が違う中で城田のどたんばな日常を描く。みんな何か問題かかえてそれぞれ心配し、時にはしかったり喧嘩したり…だけど家族の愛情が詰まっている。

自分も1年ホームステイでマザーやシスターと合わないこともあって、ボラージュ(ボラ助)の苦悩に共感しつつも、留学期間は親代わりとして育ててくれたマザーのお節介なところも今更ながら理解。

ビーグル犬のフックがおバカなんだけど人間のようで、とてもかわいい。犬も一緒に住んでれば、家族のちょっとした違和感さえも気づくんでしょうね。

ボラ助と仲良しだった恭太、3年の月日が立ってとっても成長して、送別会パーティーのスピーチよかったなぁ。

2021年映画の振り返り

映画館で映画を観る機会がかなり減りましたが、
去年観た作品のまとめ

・ヤクザと家族
・あのこは貴族
・あの頃。
・すばらしき世界
・まともじゃないのは君も一緒
・だまし絵の牙
ノマドランド
バイプレイヤーズ
・街の上で
・LEON
・くれなずめ
・ジェントルメン
・ファーザー
ベルヴィル・ランデブー
・犬部
ジャングルクルーズ
・少年の君
・ドライブ・マイ・カー
・空白
・007
・永遠に僕のもの
・ナイト・オン・ザ・プラネット
ライフ・アクアティック


ベストオブ洋画
「少年の君」
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外国映画今年No. 1かも。
しばらく余韻に浸りたくなる。2人の表情、まなざし心理描写が素晴らしくどんどん情が湧く作品だった。

壮絶ないじめ、過酷な受験戦争、貧富の格差など中国の社会問題を訴え、境遇がちがう孤独に生きる二人が出会い、次第に惹かれあい、傷を負いながら守りたいものを見つけてゆく。


「007」
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ジェームズ、15年間お疲れ様でした…。007最新作「NO TIME TO DIE」を観た。(ネタバレしてない)

ダニエルクレイグ、ボンド引退、最終作としては過去最高の007で、個人的には納得いく終わり方だった。ダニエルクレイグ出演の過去作を直前に復習してから観た。
ん〜いろんな感情がよぎる。
15年の歴史とダニエルクレイグのボンドをスクリーンでもう観れないと思うと、惜しみない感情が込み上げてきて、まさかスパイアクションで涙してしまうとは、自分でもびっくり。

イタリア南部・マテラの街をものすごいスピードで駆けていくカーチェイスシーンは迫力満点。置いていかれないよう必死で映像を追ってました。

能面や畳、作法など007の世界観に日本文化が取り入れられているのが日本人として嬉しく感じたところでした。
 
主題歌、ビリーアイリッシュの声がとても渋かったです。

「ナイトオンザプラネット」
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アマゾンプライムで視聴。
92年?の作品。LA、NY、パリ、ローマ、ヘルシンキ同じ時間に5つの都市の夜のタクシーを巡るオムニバス映画。
同じ時間帯にタクシーに乗り込む客と運転手。これも紛れもない一期一会。
LAのウィノナライダーが大人びていてミステリアスな可愛さ。
誰かとみるよりかは、夜中1人でゆっくりみたいやつ。
90年代の映像ずっとみてられる。ここ最近映画も音楽も80年代90年代に触れている。


ベストオブ邦画
・ドライブマイカ
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アカデミー賞にもノミネート、受賞するんじゃないかなと期待。濱口監督の作品見返すと「寝ても覚めても」「スパイの妻」の監督の方だと気づく。これからも作品が楽しみ。

・空白
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不慮の事故によって、店長、轢いてしまった女性、父親の人生が、メディアの追い込みによって狂わされてしまう、怖さと虚しさ。
メディアサイドにもいたのでわかるけど、ほんとに都合のいい部分を切り取って報道するから、何を正にするかは自分で考えないといけない。
終盤の、娘を轢いてしまった女性の母親の言葉に私に涙してしまった。
松坂桃李の頼りなさそうな店長と怪物のような古田新太の演技がとても良かったです。

外国人観光客が少ないプチ京都観光

夏の終わりに訪れた京都。

紅葉シーズンではないですが、9月の京都も行った甲斐がありました。

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4年ぶりに訪れた嵐山。
なんと嵯峨野トロッコ列車は30周年記念になるようで、
SNS投稿キャンペーンを実施中だった。

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都会の喧騒を忘れられる風景に出会いました。

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嵐山から嵐電に乗って、金閣寺へ。

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秋空の下、緑、木々に囲まれる煌びやかで美しい金閣寺
鏡湖池に映しだされるこのリフレクション。ベストショットです。

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京都なんていつ行っても外国人観光客や地方から来ている人で賑わっているのに、
休日でも人がいなくて、人を嗅ぎ分けずに写真はベストショットを狙えます。
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景色を楽しんだり街歩きをしたりするには快適なんだけど、
外国人がほとんどいない京都が寂しいというかもったいないというか。
早く賑わっている光景が戻ってきて欲しいものです。

三条〜四条の好きな路地裏特集。
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パリで活躍した印象派の画家たちの作品展

芸術の秋。
フランス印象派の絵画作品が、東京都立美術館、三菱一号館美術館Bunkamuraにやってきています。

Bunkamurawww.bunkamura.co.jp
ポーラ美術館で展示している、モネ、ルノアールシャガールなど28人の名作集が。

都立美術館www.tobikan.jp
ゴッホ絵画の収集家ヘレーネがコレクションしたゴッホの絵画や版画とミレー、ルノワールなどの絵画を展示。

三菱一号館美術館では、イスラエル博物館が所蔵する印象派モネ、ゴッホ、ゴーガンなどの傑作が展示。

三菱一号館美術館mimt.jp
日本出展の印象派の名作コレクションが見れます。

都立美術館のゴッホ展→Bunkauraの印象派作品を見て、三菱一号館美術館へ。

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絵画に疎いんですが、
印象派作品を見続けて、この時代のフランスに興味を持ちました。1870年代〜1880年代に活躍した画家たちがたくさんいて、
当時の階級や労働者のリアルな光景や、産業革命が起こり変化していくパリの街並みが描かれていて、絵から当時の歴史を感じ取れるところが面白かったです。
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モネの睡蓮

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ゴッホの「プロヴァンスの収穫期」
(撮影OKでした)

19世紀後半に活躍したモネ、ゴッホ、ゴーガンなどは有名作品もなんとなくで知っていて海外訪れた時に美術館で観ることはあったんだけど、それ以外の画家の絵を見ると、
今から100年〜150年前に画家同士が刺激しあって作品を残してきたと思うと、すごく尊いことだなぁとしみじみ思いました。


こちら、印象派ルノワール、モネ、シスレー、バジール、カイユボット、ピサロドガ、カサットの代表作や人間関係がわかる一冊。
初心者にわかりやすく解説されているので秋の一冊にどうぞ。
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原郷から幻境へそして現況は

2021年7月17日から10月17日まで東京現代美術館で横尾忠則展が開催されていて、
500点以上の横尾さんの作品を見てきました。

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清澄白河駅か10分ほど歩くと東京現代美術館があります。
新しい建物で中も広く、現代的な空間です。
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見応えあってインスピレーションが湧いてくる絵画が600点以上飾られてた。
(唯一写真OKだったロビーでのインスタレーション👄)
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写真はNGなんですが、展示会の中で
絵葉書を吊るした「滝のインスピレーション」エリアがあり、
ここは空間一面が鏡で包まれていて、頭ふらふらする感覚がなかなかの体験ものだった。
ゆっくりじっくり見るなら半日この空間に入れるんじゃないかと思うほどの作品の数。

どこか懐かしさを感じさせる
「Y路地」シリーズが個人的にはとても好きです。

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https://www.fashion-press.net/news/65998

横尾さんが「Y字路」を描き始めたのは、子供の頃通った模型店が壊された跡地の写真を見て、個人のノスタルジーを超えた「普遍性」を感じたのがきっかけだったのだとか。
眺めていて、地元を思い出すような感覚に陥りました。


普段美術館なんて行かないし、アートな人ではないんだけど、
この展覧会はなかなかの実物で退屈しないです。
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絵を見ているといろんな妄想空想が広がって、、メモリ足りなくて一度だけでは全部目に焼き付けられない。東京現代美術館での個展は終了しましたが、名古屋で秋から、来年大分で開催があるようです。

【映画】空白

今年の邦画で三本指に入る作品。大衆ものでなく、ミニシアター系で上映される作品は感情的にメッセージ性があって面白い。
映画はすぐサブスクに入ってくるから、本当に集中して観たい作品しか映画館にいいってないが、邦画でこれは劇場でみれてよかった。

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スーパーの万引き未遂で店長に見つかり追いかけられて車に轢かれて死んでしまった娘の無実を証明するために、父が店長を追求していく。

不慮の事故によって、店長、轢いてしまった女性、父親の人生が、メディアの追い込みによって狂わされてしまう、怖さと虚しさ。
メディアサイドにもいたのでわかるけど、ほんとに都合のいい部分を切り取って報道するから、何を正にするかは自分で考えないといけない。

終盤の、娘を轢いてしまった女性の母親の言葉に私に涙してしまった。
父親を演じた古田新太の図太く幻燈、行動すべてがモンスター化した演技に鳥肌ものだった。
THE 昭和の頑固親父。「自分が娘だったら、正直辛いっすよ」には同感です。
娘を亡くしてから、何が好きだったのか、学校ではどうすごしていたのかなんて、本当のことを知らない。
それぞれ大切な物を失った空白な時間。僅かな希望を残すラストシーンはとっても感動でした。

ゴッホ展


ゴッホのコレクター・へレーネが収集した版画を展示が、現代美術館にて開催中です。

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ゴッホが亡くなった後、ヘレーネがコレクションしはじめてゴッホの作品が世の中に広がったことをここにきて知りました。

 

美術館って海外行った時くらいに立ち寄るくらいだから、ゴッホの絵見ながら海外気分を味わえた感じだった。油絵に見惚れてしまう。

 

音声ガイドは浜辺美波がガイドしてくれて、落ち着いた声と透き通る声がぴったりでした。行った方はぜひ音声ガイドも利用してみてください。

「糸杉と星の見える道」「黄色い家」など記憶に残る作品たちの作品が印象に残っていて、私は青色の夜が衣装的な「夜のカフェテラス」がロマンチックで好きです。

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2017年に公開した動く油絵のアニメーション「ゴッホ最期の手紙」はゴッホの生き様辿るミステリー仕立ての映画なんですが、美術館を出てからもう一度振り返りたいと思った。 

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こちら↓もゴッホの生涯がわかる伝記映画。

繊細で美しい心を持つ人物だったのでしょうね…。

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いつかあの「ひまわり」絵画も観れたらいいな。