徒然日記

ふと感じた四季折々のこと、本のこと、街のこと

【小説】抱く女

「抱く女」

吉祥寺に通う直子が不意に出会ったドラマーに恋しのめり込んでいく青春物語であり、色々な人間関係を経て、自分の居場所を探し求める女性の物語。 70年代の女性の生き辛さを10代の直子のフィルターを通じて描く。

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時代は違えどいつの時代も男性に比べると女性は身体的にも精神的にも弱い立場にいるのだろう。女性としてのアイデンティティとはなんぞや。

かつては仲間だと思ってた男達から影で「公衆便所」だの「女は身体でで稼げる」だの言われ、ウーマンリブの女達には媚びていると言われ涙を流せない傷を抱えていく。

劇的なオチのあるわけはないけど、所々で痛快に的を射る作品だったし、直子の痛みに少し共感を覚えた。

いまや女性がリーダーや社会的地位を築けるって、ほんと生きやすい時代になったなぁ。もし自分が70年の女子大生だったら、直子側にはいなかっただろう。