徒然日記

ふと感じた四季折々のこと、本のこと、街のこと

【映画】ドントウォーリー

 59歳で他界した、オレゴン州ポートランド出身の風刺漫画家のジョン・キャラハンの自伝を映画化。「グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち」(97)の監督・ガス・ヴァン・サントの作品で、『自分を知り、人を許し、自分を許す』というテーマは似ていて、優しい気持ちになれる作品。

 


 アルコール漬けの日々を送っていたキャラハンは自動車事故に遭い一命をとりとめたが、胸から下が麻痺し、車椅子生活を余儀なくされます。周囲と上手く行かずぶつかりますが、禁酒会で人生の師と出会ったことで、自分を憐れむことをやめ、前向きに生きていく。そして、持ち前のユーモアな思想で風刺漫画を書き始める。
アルコール中毒の人ほど観てほしい…そう思えたなぁ。アルコール依存と、それを克服する姿も描かれていて、一人では克服することが難しいということがわかる。お酒を浴びるように飲み、気づいたとき時すでに遅し。事故後、病室で寝たきりの彼の目をみると、『どうして運転していない男は助かり、自分がこんな辛い思いをしないといけないのだろう』と怒り、もどかしさ、後悔が伝わってくる。四肢麻痺でヘルパーに頼りながらの生活で、冷蔵庫の上のウォッカが届かない、ワインボトルのコルクを開けられず、必死で酒を欲する描写はなんとも言えなくなりました。仲間やヘルパーとの交流や救済で、人生をやり直そうとする前向きな彼の姿には胸を打たれた。
 『人生最悪なことがあっても、人は変わることができる力がある』ということを、新たな人生を築こうとするキャラハンの姿を見て感じま。キャラハンの周りの重度の病やトラウマを抱える仲間は、自分の弱みを気にせず晴れ晴れした表情をしていて、私自身悩んでいることがちっぽけに思えた。そして、『弱い人間ほど強くなれる』というセリフも印象に残る。
 彼が乗っている電動椅子。猛スピードで歩道を移動しているシーンに、クスっと笑いそうになるんですが、これがまた彼のキャラクターが表れていた。