徒然日記

映画や小説の感想を紹介しながら、旅先や街歩きの情報も掲載。

【映画】運び屋

家庭を顧みず、自由に生きてきた主人公アールに残された人生の残りと後悔した時間を取り戻すべく、麻薬運びという犯罪に加担していく。犯罪映画でありながら、人生で失ってはいけないもの がテーマとして語られていた。地位やお金、名声より大切なものがある。娘役に実の娘を起用しているところも、イーストウッド自身に重ねているのだろうと思えた。

「何でも買えるのに、時間だけは変えなかった」というアールの言葉には、家族と過ごす時間を疎かにしてきた後悔の念がひしひしと感じられた。
家族や友人という自分の周りにいる大切な人には愛を持って接しよう。
人生は挫折しても何度でもやり直せるというけれども、失ってからでは取り返せない大切なものがあるから、素直に誠実に生きていきたい。
「ただいま」と迎えてくれるあたたかい場所があるのは、幸福なことだとアールの一人の生活をみていて寂しくなってしまった。

スマートフォンや携帯というデバイスを持たずに生きてきたアールと、スマートフォンに依存する若者たち。
アールが「スマートフォンに頼りすぎだ」みたいなことを言っていて、まさにそう。
もうスマートフォンを持たない時間作るなんてできない。
ネットがなければアールのように愉快に能天気に自由に生きられるんだろうなと思えた。
映画が終わってすぐにiphoneを開いた自分が腹立たしくなった。

クリント・イーストウッドの作品には、何かしらメッセージがあり、今回感じたことは、
孤独の辛さと人生で失ってはならないもの。

にしても、イーストウッド88歳には見えない。彼が出演、撮影する作品はあと何本観られるのやら。