徒然日記

映画や小説の感想を紹介しながら、旅先や街歩きの情報も掲載。

【映画】空白

今年の邦画で三本指に入る作品。大衆ものでなく、ミニシアター系で上映される作品は感情的にメッセージ性があって面白い。
映画はすぐサブスクに入ってくるから、本当に集中して観たい作品しか映画館にいいってないが、邦画でこれは劇場でみれてよかった。

f:id:chihalun_lun:20211023035113j:plain

スーパーの万引き未遂で店長に見つかり追いかけられて車に轢かれて死んでしまった娘の無実を証明するために、父が店長を追求していく。

不慮の事故によって、店長、轢いてしまった女性、父親の人生が、メディアの追い込みによって狂わされてしまう、怖さと虚しさ。
メディアサイドにもいたのでわかるけど、ほんとに都合のいい部分を切り取って報道するから、何を正にするかは自分で考えないといけない。

終盤の、娘を轢いてしまった女性の母親の言葉に私に涙してしまった。
父親を演じた古田新太の図太く幻燈、行動すべてがモンスター化した演技に鳥肌ものだった。
THE 昭和の頑固親父。「自分が娘だったら、正直辛いっすよ」には同感です。
娘を亡くしてから、何が好きだったのか、学校ではどうすごしていたのかなんて、本当のことを知らない。
それぞれ大切な物を失った空白な時間。僅かな希望を残すラストシーンはとっても感動でした。