徒然日記

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【映画】ライ麦畑の反逆児 を観て、才能ある作家はすごいと思った。

サリンジャーの青春期から『ライ麦畑を捕まえて』がヒットした後を描いた映画。才能ある作家は人として何かが欠けてるんだけど、この欠点があるから、素晴らしい作品を生み出せるのだろう。サリンジャーを見てて思うのは、作家は常に自分との戦いが続く孤独な職業だと思う。有名になればなるほど自由を奪われ、書くことが作家なのか、出版することが作家なのか、サリンジャーが書くことに対する思いや心の内を垣間見れる。


サリンジャーを知ったのは大学2年の頃。アメリカ文学史という授業を受けていて、先生が小説の一部を紹介していた。テストに出るからという理由で、作品お名前を必死に覚えていた記憶がある。恥ずかしながら『ライ麦畑をつかまえて』を読むだのは社会人になってからだ。村上春樹が翻訳していた作品と知って、手に取った。どうして、学生時代にちゎんと読んでおかなかったんだろうと後悔した。英文学科の学生なのに。

 


2019年1月1日に、サリンジャーが生誕100周年を迎えるとのことで、2018年はいろんな企画があったそう。去年は『ライ麦畑で出会ったら』という映画が公開された。高校生のジェイミーが、ライ麦畑の舞台化の許可を得るために、サリンジャーに連絡を取ろうとするが、なかなか居場所をつかめない。演劇サークルの女子高生ディーディーと一緒にサリンジャー探しの旅に出かけるお話。

 


ライ麦畑の反逆児』に繋がる場面もあって、ライ麦畑で出会ったらライ麦畑をつかまえてを頭に入れておくとより楽しめる。

 


ライ麦畑でつかまえて』は映像化されないことで有名だ。サリンジャーがそれを望まないことが語られている。ライ麦畑でつかまえてにでてくる主人公・コーンフィールドは、サリンジャーにしか演じることができない。なぜならコーンフィールドがサリンジャーであるから。『ライ麦畑で出会ったら』に出てくる高校生のジェイミーも必死で、舞台化の許可の依頼をしてたけど断られつづていたなぁと思い出したり。

ライ麦畑をつかまえて』が出版された後は舞台化、映画化したいと依頼するプロデューサーや監督が多かったそうで。


なんせこの映画観て驚きだったのは、サリンジャーは戦争に駆り出され、戦時中も小説を書きつづけ、生き抜いたことだ。戦争体験がなければ、『ライ麦畑をつかまえて』は生まれなかった。(戦時中に書いていたのは別の作品だったみたい、だけどコーンフィールドは描いていたのだとか。)


大物作家でも、出版社に出しても断られ続け幾度となく送り続けた過去がある。その姿には胸が熱くなる。「真の芸術家は生き延びる」という言葉に、まだまだサリンジャーの本は読み継がれると思った。

ライ麦畑だけでなく、他の短編集も読んでみたい。改めて思う、作家はすごいや。