徒然日記

映画や小説の感想を紹介しながら、旅先や街歩きの情報も掲載。

【映画】15時17分、パリ行き

”人生は大きな目的に向かって導かれている”
人を救うがテーマであり、日々の積み重ねがいつしか役に立つ時が来る。


2015年8月21日アムステルダム初のパリ行きの列車で起きたテロ事件。
軍平、州兵、学生である中学から幼馴染である25歳の3人はヨーロッパ旅を楽しんでいた。
イスラム過激派名乗る男が現れ、躊躇なく犯人に立ち向かった実話。

あつ一点に向かって3人の生活が描かれている。
ある一点というのが、パリ行き列車のテロ事件だ。
主人公3人がみな同い年であることを観終えた後に検索して知る。本人たちが実際に演じているから映像に
リアルさがあり、臨場感がある。
列車の中で事件が始まろうとするシーンから、スクリーンに釘付けになる。
上半身裸で銃を持った人が歩いてきたら、その場で固まってしまう。彼らのようには動けない。
人を助けたい使命感が強くあったからそこ、 とっさに対応できたのだろう。
目の前で銃を発射しようとする犯人に立ち向かう勇気に涙。
テロ事件で死者を出さずに乗客を救った彼らは、本物のヒーロー。
この事件は彼らの中の通過点であり、彼らの人生はまた走り出す。


重なり合う偶然
物語の主人公スペンサー、アレク、アンソニーキリスト教の中学校に通っていた。
黒人のアンソニーはよく校長に呼び出されていた。
スペンサーとアンソニーは先生に口答えしてしまい、校長室へいくことに。
校長室から出てきたアンソニーと言葉を交わしたことがきっかけで仲を深めていく。
途中でアンソニーは転校をしてしまうが、3人の仲は大人になっても
中学の頃から変わらず強い友情で結ばれていた。
列車のテロ事件が起きたあの日、あの時間に3人が運良く乗り合わせていた。
この3人がいなければ、乗客に死者がでていてもおかしくない状況だった。
3人がヨーロッパ旅行していたのも運であるし、固い絆で結ばれていたのも奇跡である。
校長室前での出会いがなければ、3人は話すことも仲良くなることもなかったんだろうな。

必然的な出会いと友情
運命の日、もしかするとその日は同時に死んでいたのかもしれない。
この日の列車テロのために、彼らは必然的に出会ったのかもしれない。

友情の仲というのは共通点があって深まっていくものだ。
辛い過去の経験や痛みや傷や欠点が分かっていると
互いの繋がりが強いものになると思った。
シングルマザーの過程で育つ、スペンサーとアレクは注意散漫で先生からよく注意され、
少し病気なの?と言われてたそうだ。
アンソニーは黒人だからかもしれないが、少し小馬鹿にされていじめの対象にされているなど、
3人はどこか疎外されているところがあるのは共通点なのかもしれない。



予定されていた目標
列車の中で銃を向ける犯人に躊躇せず立ち向かったのが、州兵であるスペンサー。
彼は子供のころから「困っている人を助けたい」という夢を抱き続け、空軍を目指す。
空軍で活躍するために減量し体力をつけ努力をしたのに、
視力検査でひっかかっってしまい州兵を諦めることに。
空軍として活躍する夢は叶わず挫折。

それでも「助けたい」想いをずっと持ちつづけ、
その想いが実現する運命の日がやってくる。
事件の前日、アムステルダムにいた3人は、フランスに行こうかを迷っていた。
周囲からもフランスは行かないほうがいいと言われていたが
戸惑いながらも、”何か”に導かれるようにしてフランスに行くことに。
「人は何かに動かされている」
神が彼らを導かせたのかもしれない。
平凡な人間が勇気を奮い、何百人の命を助けた。

ドキュメンタリーだけあり、本人たちが役者として出演している。
まったく違和感や不自然さがない。
初めはイーストウッドのオファーに断ったらしい。

最後の映像では、フランスとアメリカで表彰されている実際の動画が使われていて、自然と涙がでた。
傑作だった。