徒然日記

映画や小説の感想を紹介しながら、旅先や街歩きの情報も掲載。

ただ過ぎていく、夏の日を感じる一冊 が忘れられない。

先週末、上馬にあるカフェで読書会が開催されていて、10名の参加者が集まって好きな本について熱弁していた。

語り合っているのを見て、
私だったら何の小説を紹介しようか、どんなことを伝えたらインパクトが残るかなと考えていた。

好きな小説、心に残る作品でいえば、村上春樹さんの作品が出てくるかな。
ハルキストではないが村上春樹さんの長編小説は全巻読んで登場してくる人物や見えてくる景色や街並みが頭の中でイメージができてしまう。

村上春樹さんの小説に出逢ったのは大学4年の頃。
それまで作品は知っていたものの読んだことがなかった。
英文学の授業で、
タイトル、作者名を伏せた英語で書かれた1枚のプリントを渡された。
それは彼のある小説の一節で、
主人公の内心、タクシーでかかっている音楽、主人公はどこに向かっていくのかを読み解くという。

そえが彼の代表作「1Q84
舞台は1984年の東京。
小説の主人公・青豆(女)というスポーツインストラクターはタクシーにのって首都高速道路3号線を走っている。
タクシーから流れるオーケストラの音楽が”ヤナーチェックシンフォニエッタ
であることがわかる。車は渋滞に巻き込まれ、仕事があるため急いで欲しいとドライバーに伝えたところ、
緊急停車場所の避難階段を降りるといいと言われ、降りていく。そこから世界は1Q84に変わっていき...青豆のストーリーが始まる。

もう一人の主人公、作家志望予備校教師の天吾(男)は、教師をしながら新人賞に応募。
そこで知り合った編集者に才能を認められる。「空気さなぎ」といった小説を書いた、17歳の少女・ふかえり(深田絵理子)
に逢う。ふかえりから「空気さなぎ」の話を聞かされ、ふかえりに関わっていく。

2人の話が章ごとに交互に語られる。


1Q84の始めの一節を英語で読んだときの衝撃が今でも忘れられない。
この小説は何を伝えたいのか、主人公は何をしに行くのか、タクシーの運転手は何者?
といった疑問が生まれた。
隣に座っていた友人が、「村上春樹」とぼそっと言ってきた。
その友人は内容と作品を知って小説も持っているとのことで、
翌日1Q84の単行本1〜6冊を借りた。

1日1冊のペースで読んだ。
宗教団体の話がでてオウムと関連してそうだなと想像を掻き立て、
謎解きなところもある。暗殺シーンや追い詰められるシーンもあり
サスペンスな要素があるが、青豆と天吾の心や言葉、考えが合わさっていく所が
ラブストーリーらしさ醸し出している。

これがいつか映画化にならないかなと思っていたりする。


村上春樹の処女作「風の歌を聴け」が1番印象に残っているかな。
”完璧な文章などと”いったものは存在しない。完璧な絕望が存在しないようにね。”
読めば読むだけ疑問が出てくる。

この作品、夏の訪れとともに読みたくなる。
70年代の作品であり、読んでいる文章からなぜだか、古めかしく、感傷的な気分に。
物語を読んでいる中で、
主人公の友人「鼠」が、主人公を動かしていていたんだと。
読んでいく内に、点と点が結びつくような感覚になる。

”みんなの楽しい合言葉は、
「MIC KEY MOUSE」”

なんていい時代だったんだ。

何もない空間に風がなびいてくる。読めばわかるきっと。笑



2017年のノーベル文学賞カズオ・イシグロさんの作品。
遠い山なみの光
舞台は、戦後間もない頃の長崎。故国を去り英国に住む悦子は、娘の自殺に直面し、喪失感の中で自らの来し方に想いを馳せる。
戦後まもない長崎で、悦子はある母・佐知子と娘万里子に出会う。

大学の頃に「遠い山なみの光」を読んで衝撃を受けた感動が今でも忘れられない。
悦子と佐知子が入れ替わったみたい、胸騒ぎがする。
主人公、知人、いろんな人の記憶と人生が重なって、描かれていないストーリーを想像してしまった。
読めば読むほど登場人物の謎が深まる作品。

今はカズオ・イシグロさんの「わたしたちが孤児だったころ」を読んでいる。



京都が舞台になってる作品、森見登美彦さんの小説。
「世は短し歩けよ乙女」
原作は大学時代に読んだきりだったけど、今年2月に映画で上映されて懐かしい気持ちになった。古典的な青春物語。

季節は巡り夜は明ける。だけどその夜は短くはない かな。

小説は京都の街、先斗町の街並みをイメージしながら読むとワクワクする。
映画では、黒髪の乙女が街を歩くたびにぴゅーっと風がなびく。

いろんな場所での人との出会いは無駄ではない、人は何かしらの縁で繋がっているというメッセージがちゃんと込められてある。映画では独特な世界観が絵で表現されていた。絵がが可愛い、そしてなにのりカクテルが綺麗なのだ。


沢木耕太郎さんの「深夜特急」も好きだ。
6巻あって旅している感覚。日常の忙しさやストレス、心の渇きを潤してくれるのが沢木さんだなぁ。
沢木さんの小説からひとり旅に憧れて、海外へ旅した人ってどれくらいいるのかな。

結論、どの作品が好きなのだろうか。
パッと思いついたのをまとめただけなんだが、
やはり、「風の歌を聴け」かもしれない。

詩を読むような、そんな雰囲気の作品。
夏がやってくる時期、夏が終わって寂しさを感じた時き何度も手に取った。

映画も好きだけど小説も好き。
毎週本屋さんに行ってはどんな小説が旬なのか。
小説コーナーにおいてあるポップを見て回るのも楽しい時間。

気づいたら1時を回ってる。
やれやれ。