徒然日記

映画や小説の感想を紹介しながら、旅先や街歩きの情報も掲載。

それでも、東京がすき

石井裕也さん監督・脚本を書いた 「夜空はいつでも最高密度の青色だ」が思った以上に素晴らしくて。東京で何のために生きているのか を考えさせられた。

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都会のせかせかした生活や格差がある社会の中で、日々の苛立ちや不満、息苦しさが主人公の視点で描かれている。東京って田舎から上京してきた人からすると、なんか夢があったり華やかさや楽しくてキラキラしたイメージがあるけど、生活するのには息苦しさがあったりしてものすごくいま自分が置かれてある状況がわかる。

生活費払うためにせかせか働く毎日に追われたり、正社員と平社員の格差がある社会の中で肉体労働で汗水垂らしながら働いて、苛立ちや不安、目に見えない障害や葛藤をかかえて、みな「生きる」ために働いているんだってことがわかる。そんな東京でも、同じ時間はながれていて、好きな人を見つけて、別れて、またくっついてという感情があることは変わらないんだなって。
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劇中の渋谷の街になびく風やクラクションの音の音、人が交わる交差点、居酒屋でお酒を飲みながら交わす言葉、日常生活に溢れているもの、ことが現実的で、何か大事なことを忘れているんじゃないかとぼんやりと思ってしまう。

いま自分が生きている場所、東京の色に染まったなぁ…と。
東京の街ですれ違う人の中で、私はあとどれだけの人と知り合えるのか、似たような人に出会えるのか?

若者が抱える不安と希望が主人公視点で描かれていて、独特な詩は胸に刺さり流れる音楽は耳に残る。渋谷、新宿、ハデであるが都会的な寂しさがあってすごく良い。


都会で生きていくってストレスフルでむしゃくしゃするけど、時代は変わらず刺激的で面白い。